先月のこと、アメリカ・イリノイ州に半月、滞在しました。
シカゴ郊外にある、ウィルトンの本部スクール。17年前、初めて来た時に取ったコースをもう一度学びたくて、行って来ました。
ウィルトンのケーキデコレーティングに初めて出会ったのは、1980年代の終わり頃。
製菓道具を求めて行った合羽橋のお店で、たまたまレジの隣に積んであったウィルトンのイヤーブック(カタログ年鑑)を、表紙のケーキが可愛くて、ついでにこれも!という感じで買いました。
帰りのあずさの中でページをめくるたび、ワクワクどきどきが止まりませんでした。
当時はもうお菓子教室を開いていて、この先どういうふうに仕事をしていこうか、子どもたちもまだ小さく、頼りにしたい双方の実家も遠く、いろんなことを考えて、迷い、躊躇い、でもやっぱり自分でケーキの仕事をやっていきたいと感じていた頃でした。
ウィルトンのカラフルでポップなケーキを見て、パアアァッと新しい世界が開いたのを憶えています。
その時からずっと、いつかウィルトンの本拠地のスクールに行ってみたいと思っていました。
それから10年余後、2000年のことです。
やっとやっと来られたウィルトンスクールで、自己紹介のときに拙い英語で、「ここに来るのがずっと夢だった」と言った記憶があります。
2週間のレッスン中、英語がわからなくて困っていたらクラスメイトが助けてくれ、面倒を見てくれました。本当に有り難かった。
初めてウィルトンを知ったとき、小さかった子どもたちは高校生になり、夫と一緒に留守を守ってくれました。
あれから17年。
その時レッスンして下さったサンディ先生が、今も現役で今回もレッスンしてくれました。
前回よりはお年を召されましたが(私も年をとったよ(笑))、朝7時前から爽やかな笑顔でレクチャーしてくださいます。
いやー、すごい体力!
スクールは、とても大きく綺麗になっていました!
もともとあったショップとクラスルームに加えて、3倍くらいになったんじゃないかな?
廊下の壁にはウィルトンの歴史がディスプレイされています。
2006年にも、ゲスト講師のコレット・ピーターズ先生のクラスを受けにきました。
コレットの、奇想天外なケーキデザインが大好きで、一度でいいから会いたい!という、かなりミーハーな動機でした。
当時コレットは大人気で、クラスは速攻sold out!
私は3年くらい、キャンセル待ちに登録しては、時期を見て取り下げる(なんせ急に言われても行かれないですもん)ということを繰り返していたのですが、その年はうまく申し込めて、念願のクラスでした。
教わる内容は全然奇想天外ではなく、基礎的なことをしっかりとレクチャーされます。
コレットが得意とするcrocked cake(斜めに傾いたケーキを重ねていくスタイル)の構築法、バランスの取り方などをかなり理論的に教わりました。この部分は、私の英語力では着いていくのに必死(^_^;)。
ひととおりのバリエーションを習った後、自分の発想でデザインを描いてコレットに見せます。
ここをこうしたら?というようなアドバイスはなく、何をどう考えたか?というようなことを聞かれて答えているうちに、どんどん自分の中からデザインが湧き出てくる感覚がありました。とても不思議。
これが、各々の持つ力を引き出す指導力ってものかなぁと感じたことを憶えています。
数えてみたら、それから11年。……11年⁈
怖ろしい…。月日は何という速さでしょう。
今回のマスターコースはとてもハードで、メインのパイピングに、アディショナルのガムフラワーとフォンダンを付けたので、朝7時から夜7時までの12時間レッスンです(^_^;)。
夜明けとともに登校し、帰る頃には日が暮れています。
でもね、本っ当に楽しいの。
17年前にも習ったコースですが、バージョンアップされている部分もあり、当時と違って、今は私自身もウィルトンメソッド・インストラクター(WMIといいます)として教える立場からも、学ぶところがたくさんありました。
これは登校時の朝日。
朝から絞って絞って絞って、さて、そろそろお昼かなぁ?と時計を見たらまだ9時半くらいだったりして、思わず脱力してしまうのですが、コーヒーを飲んだり、おやつを食べたりしながら(そのあたりはアメリカなので、とっても自由です)、また気を取り直して絞る(笑)。
なーーーんにも考えずに、ずーっとそんなことをしている時間は、至福のときです。
ああ、こんなに楽しめる好きなことがあって良かった!とつくづく思います。
これが、パイピングクラスのmy projectです。
ダミーの大きさが決まっていることと、すべてをアイシングとパイピングテクニックで仕上げること、がお約束です。
2週間の間の週末に、デザインを描くホームワークが出て、月曜日にサンディに見てもらい、朝の練習時間にお花などのパーツを絞って作りためて行きます。
木曜日に一気に仕上げる感じ。
作ってる間じゅう、楽しくて楽しくて、あー、ここはもうちょっとこうすればよかったな〜という部分もありますが、とにかく楽しい!
作品を作るって、こんなに楽しかったかなぁと、改めて思いました。
いつもは、サンプルだったり習作だったり、なにか「作らなくては」という縛りがあるものですが、気の向くまま、思いつくままに作ることの楽しさったら‼︎
ボードに、トップデコレーションの練習をしたり、
これはリアルケーキ(本物の食べられるケーキです)。
サイドはサンプラーになっています。
フォンダンのサンプラーボード。
とても大きい(笑)。
フォンダンクラスのリアルケーキ。
あと、ガムフラワーも作りました!
作品はすべて、現地に置いてきましたので、なーーんにも持って帰ってきていません。
クラスルームの棚に、同じく置いて帰った仲間たちの作品と一緒に、飾って貰っています。
しばらくは、この教室でレッスンする人たちに見てもらえるかな。
修了式のあと、クラスメイトたちと一緒にシカゴのダウンタウンに行きました。
みんなで、シェフコートを着て写真を撮るために(笑)。
なんちゃらいう名所よ(おいおい)。
帰ってきたら一気に現実に引き戻され、翌日からレッスンが始まりました。
身体はすごーく疲れたけど(最初に行ったときより年も取りましたしね)、気持ちのパワーはとても元気になりました。
今回の滞在は、最初にウィルトンに行ったときにクラスメイトとして知り合った友人宅に泊めて貰いました。
そのお話もまた追い追い。
山盛りにたくさん楽しい話があります。
ああ、また行きたいなぁ。また行かれるかなぁ。
そう思うと、がんばろっ!という気持ちになれます。
人間、目標というか夢というか、なんでもいいけど希望を持つって大事だね。
いくつになっても、やりたいことを持っていられたらいいなと思う、今年の秋です。