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味は食感

こないだ、ってもう先月のことですけれど、所用があって京都に行きました。
帰路のサービスエリアで、「うばがもち」が売っていたので、思わず買っちゃった。
昔、小さい頃にね、よく食べたのよ~。
どなたか、きっと近江あたりが出身の知り合いがいたのでしょう。
いつもお土産に下さっていたんだと思います。

昔の「うばがもち」はね、薄べったい箱に、組み合わせた経木で升目が作ってあって、その升目にひとつずつ、小さいあんこのお餅が収まっているの。
そしてあんこの上には、白いお砂糖がちょんちょんと乗っているのです。
箱の蓋を取ると、ぎっしり入っているちいさいお餅がが可愛くて、幼い私は大好きでした。
時は移ろい、「うばがもち」もこんな風に6個ずつ、食べやすい小さいパッケージが大きい箱に詰め合わされている形態になり、確かにこれだと包装もきれいだし、なるほどお一人様分が6個くらいなのねー。

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ところが今回、食べてみると…!
上に乗っていた白いお砂糖は、白いあんこになってしまっていました!

「うばがもち」ってさ、あの砂糖の、ちょっとジャリジャリした食感も味のうちだったのよ…。
そりゃあ昨今は、甘さ控えめブームですし、カロリー低め糖分抑えめ傾向ですよ。
でもでも、食感が変わっちゃったら、私の中ではもう、これは「うばがもち」じゃなーーーい!

食べ物って、味だけじゃないと思う。
私はいつも、その食べ物を思い浮かべるとき、味よりもむしろ、食感を思い浮かべます。
それは、パリパリだったり、サクサクだったり、とろ~りだったり、ねっちりだったり。
だから、自分で作るお菓子も、食感が一番大事だと思っていて、どんな食感にしたいか、じゃあ粉は何を使おう、強力粉と薄力粉の割合をどうしよう?とか、固めるものだったら、ゲル化剤を何にするか、固さはどのくらいにするか?
そこが一番の悩みどころです。

お砂糖も、粉糖の歯触りと、グラニュ糖の歯触りは全然違う。
見かけは同じように見えているけれど、アイシングとフォンダンの食感は全く違う。
ケーキの上にとろりんと掛けるのは同じでも、今回はどっちがいいかなーと、一応考えて(野生のカンとも言う(笑))選んでいるのです。

九州に小城羊羹ってのがあって、これも小さい頃、よくどなたかがお土産に下さっていたのですが(そんなのばっかり)、切り口がシャっているんですねー。
シャるって、砂糖が再結晶化することをいう製菓用語ですが、あの表面の砂糖も独特の食感だった。
あれがなかったら、小城羊羹じゃないじゃないか~。
なのに、うばがもちは、乗っている砂糖があんこに替わっていいのかーー。

と、うばがもちの砂糖にかなり熱くなった私ですが、今思えば、あの砂糖はなかなかに繊細なものだったんだと思います。
思うに、上の砂糖はあんこの水分を吸って、ほんのわずか糖液化する。
そして、液化した砂糖は全体に毛細管現象で行き渡り、再度乾燥して表面を固めたに違いありません。
それがあの独特のジャリジャリした食感だったのでは?

ああ、懐かしいなー。もう一度食べたいなー。
オールドうばがもち、カムバック、リターン!

by cssucre2 | 2012-11-24 15:27 | くだらない話 | Comments(0)